紐油圧ディスクブレーキのススメ() 機械式より効いて油圧よりも簡単。でも…?
ハイブリッド。一般的には“複合”という意味あいでしょうか。ニコイチってことですね。
世の中の車でよく見かける単語ですね。
モータートルクで低速を補い、中速以上はエンジンでぶん回す。いいとこ取りみたいなものです。
しかしながらハイブリッド車はバッテリーがヘタったら交換費用がかかるとか、もしくは交換せずにいれば余計なウェイトを背負ったエンジン車と成り果てます。
自転車でいうとまんま電アシになりましょうか。バッテリーがお逝きになられた場合のデッドウェイト感は他の乗り物を凌駕します。
そんなチャリ界隈にはもう一つの“ハイブリッド”が存在します。ブレーキです。
自転車のブレーキといえばワイヤーで引くというのが定番でしたが昨今、これを油圧で行うものに業界主体で移行しています。
しかしながら液体を扱うので個人でメンテするにはエア抜きやらコネクトやらで、ハードルが2級山岳並みには高くなりました。工具ももっぱら専用品です。
そこで登場したのがハイブリッドシステム。キャリパーまでワイヤーで引き、シリンダーが統合されたキャリパーを動かす。
一気に難易度が下がります。もはや丘に登るレベルです。
そんな麗しき制動機様がこちら。
ワォ!読めない単語!ホングコング、シングセングならまだいける。おにりー。ってなに。せめてオニールだったらまだカッコがつきますのに。
懲りずにまたしても、我らが自転車大陸産の怪しげなパーツです。
意外にも箱はちゃんとしてます。
ロゴいりシールで封がしてあります。
なんだかんだ、これはVer.2です。1年前にこの手のものを見つけ実際に使いました。
簡潔に言うと中華らしさを体現した一品でした。左右ピストンが均等に出てこない。
故にしょっちゅうローターを引き摺ります。ジョリンジョリン空条徐倫。
一方このVer.2にはこんな文言がありました。
まさかのR9270、R8170などと同じ内容の改良です。期待が高まってしまいます。
いつからかアリエクの翻訳精度が上がってコピーが洗練され、より魅力的に見えてしまうようになりました。
…さらば諭吉、いや栄一か。
では、現物を確認しましょう。
思っていたよりもメカメカしいですね。
直線的な造形。
塗装もキレイなツヤ。
ご覧の通り、バレルアジャスターのネジがもう一箇所あるのがわかると思います。
これによってアウター、インナールーティング双方に対応する構造になっています。
初期モデルは直線的なルーティングしか選択肢がなかったので、アウターがキャリパー前でS字に湾曲し抵抗の原因になっていました。
諸々が改善された結果引きはスルッスルになりました。
ついでの恩恵でフレームにアウターが当たらなくなりました。
フレームが削られる心配で精神を削るのも今日までです。
見た目はワイルド、中身はマイルド
さて肝心の引きや効きはといいますと、かなりリニアな引き心地です。悪く言えば初期制動力はない。良くいえばコントロールが容易です。
レジンパッドということも相まって、超止まる!って感じはないです。
握り込んでいけばいくほど入力に対して出力曲線が乖離していくイメージがありますが、予測できる範囲内です。
それよりも恩恵があったのはパッドクリアランスですね。
おそらくディスクブレーキ最大の敵と言ってもいいローターとパッドの擦れ。この調整をしているとメンタルもスレていきます。
今回もボルトを締めて緩めてを繰り返し、テクビガークビガーアイテテ!
になると思っていましたが、パッドクリアランスのおかげかほぼ一発でセンタリングが完了。擦れも発生せず。
やはりクリアランスの余裕は心の余裕です。余裕がないのはお財布くらいでしょうか。
前述の通り制動力はないので急ブレーキが心配ではあります。10%以上のダウンヒルはコーナーで常に命の駆け引きです。こわい。
個人的に使い続けるのはイマイチかなーと思っております。
面倒くささもハイブリッドな気がしますし。結局年1でブリーディングもしなければいけない。ワイヤーも必要。
そのうち完全に油圧か、機械式に落ち着きそうです。